インパクトファクターとは
インパクトファクター(Impact Factor, IF)は、その雑誌に載った論文が平均して何回引用されたかを表す数字です。 雑誌の影響力の目安として使われ、日本の医学系では業績評価や投稿先の選定に広く用いられています。
計算式
ある年のインパクトファクターは、直近2年に掲載された論文が、その年に引用された回数の平均です。
JIF(2025年)= 2023・2024年の論文が2025年に引用された回数 ÷ 2023・2024年に掲載された原著・総説の数
分母に入るのは原著と総説(citable items)だけですが、分子には社説や Letter が受けた引用も算入されます。 この分子と分母の非対称が、インパクトファクターへの最も古い批判です。総説を多く載せる雑誌ほど数字が上がりやすくなります。
実際の分布 — 医学系898誌のデータ
本サイトが収載している医学系898誌の実測値です。「IF がいくつなら高いのか」を考える材料になります。
| 区分 | IF |
|---|---|
| 最小 | 0.5 |
| 下位25%(Q4 の境目) | 2.6 |
| 中央値 | 3.8 |
| 上位25%(Q1 の境目) | 6.5 |
| 上位10% | 11.8 |
| 上位5% | 22.6 |
| 最大 | 685.2 |
半数の雑誌は IF 3.8 未満です。IF 10 を超える雑誌は全体の 13% しかありません。
| しきい値 | 該当誌数 | 割合 |
|---|---|---|
| IF 2 以上 | 810 誌 | 90.2% |
| IF 3 以上 | 605 誌 | 67.4% |
| IF 5 以上 | 318 誌 | 35.4% |
| IF 10 以上 | 115 誌 | 12.8% |
| IF 20 以上 | 58 誌 | 6.5% |
| IF 50 以上 | 14 誌 | 1.6% |
「高い IF」は分野によって違う
インパクトファクターは分野をまたいで比べてはいけません。引用の習慣が分野ごとに違うためです。 基礎研究に近い分野、研究者人口が多い分野ほど数字は大きくなります。
| 診療科 | 収載誌数 | 中央値 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 腫瘍 | 42 | 6.8 | 685.2 |
| 総合内科・一般医学 | 40 | 6.2 | 109.0 |
| 循環器 | 41 | 6.0 | 50.2 |
| 内分泌・糖尿病 | 33 | 5.7 | 39.1 |
| 精神科 | 38 | 5.5 | 79.5 |
| 血液 | 38 | 4.8 | 47.8 |
| 老年医学 | 32 | 4.3 | 25.0 |
| 神経内科・脳神経外科 | 43 | 4.3 | 54.6 |
| 眼科 | 29 | 4.2 | 16.2 |
| 感染症 | 42 | 4.1 | 29.4 |
| 呼吸器 | 36 | 4.0 | 34.7 |
| 消化器・肝臓 | 39 | 3.9 | 57.5 |
| 放射線・画像診断 | 40 | 3.8 | 20.1 |
| 泌尿器・腎臓 | 41 | 3.7 | 46.7 |
| リウマチ・膠原病 | 33 | 3.5 | 33.7 |
| 看護 | 42 | 3.4 | 8.7 |
| 整形外科 | 40 | 3.4 | 20.1 |
| 産婦人科 | 45 | 3.4 | 20.1 |
| 皮膚科 | 32 | 3.2 | 12.3 |
| 集中治療 | 39 | 3.2 | 22.0 |
| 麻酔科 | 27 | 3.2 | 10.3 |
| 外科 | 36 | 3.0 | 15.6 |
| 小児科 | 40 | 2.9 | 17.1 |
| 脳神経外科 | 31 | 2.5 | 13.1 |
| 救急医学 | 35 | 2.3 | 11.0 |
| 耳鼻咽喉科・頭頸部 | 31 | 2.0 | 5.7 |
中央値で見ると、最も高い分野と最も低い分野で3倍以上の開きがあります。 たとえば IF 5 の雑誌は、腫瘍領域では中央値をやや上回る程度ですが、救急医学や耳鼻咽喉科では上位10%に入る水準です。 自分の分野の相場は診療科別の一覧で確認してください。
無料で調べる方法
Journal Citation Reports(JCR)本体は所属機関の契約がないと閲覧できません。契約がない場合は次の方法があります。
- 雑誌の公式サイト — ほとんどの雑誌が自誌のインパクトファクターを掲載しています。最も確実です
- 本サイトの診療科別一覧 — 上記を診療科別に集めたものです(898誌)
- Scopus の CiteScore — scopus.com/sources で無料。ただしIF とは別の指標で、値を直接比べられません
年号に注意
JCR は毎年6月に前年分を公開します。2026年6月公開の版が「JCR 2025」です。 ところが集計サイトによっては公開年で表記しており、「2025年のインパクトファクター」と書かれた値の中身が JCR 2024 であることがあります。 本サイトは JCR 2025 に統一し、確認できない誌には年ラベルを明示しています。
使うときの注意
- 雑誌の指標であって、論文の指標ではありません。同じ雑誌の中でも、引用数は論文によって大きく異なります
- 分野をまたいだ比較はできません。上の表のとおりです
- 2年という集計期間は短いとされます。臨床研究では出版から2年で引用が乗り切らないことがあります
- 投稿先の選定では、読者層・論文種別の受付可否・投稿規定・査読期間・費用のほうが実務的に重要です
よくある質問
インパクトファクターはどこで無料で調べられますか?
JCR 本体は機関契約が必要ですが、各出版社が自誌のインパクトファクターを公表しています。本サイトはそれを診療科別に集めたものです。Scopus の CiteScore も scopus.com/sources で無料公開されています。
インパクトファクターはいくつあれば高いと言えますか?
分野によります。本サイト収載898誌の中央値は 3.8 ですが、腫瘍の中央値が 6.8 なのに対し、耳鼻咽喉科は 2.0 です。同じ IF 5 でも、分野によって位置づけが逆になります。
インパクトファクターはいつ更新されますか?
毎年6月に、前年分が公開されます。2026年6月に公開された版が「JCR 2025」です。集計サイトによっては公開年で表記するため、同じ「2025年」が別の年度を指すことがあります。
Q1・Q2 とは何ですか?
分野内でインパクトファクター順に並べたときの四分位です。Q1 は上位25%、Q4 は下位25%を指します。分野の切り方によって同じ雑誌でも四分位が変わることがあります。
インパクトファクターが高い雑誌に出すべきですか?
インパクトファクターは雑誌の平均引用数であり、個々の論文の質を表しません。読者層が合っているか、その種類の論文を受け付けているか、査読期間や費用が見合うかのほうが、実務上は重要です。
本サイトでは898誌のインパクトファクターを診療科別に一覧できます。 投稿規定の比較や症例報告を受け付ける雑誌もあわせてご覧ください。最終更新 2026年9月。