IF以外の指標 — CiteScore、SJR、JCI、h-index の使い分け
雑誌のページには IF のほかに CiteScore、SJR、SNIP といった数字が並んでいます。研究費申請や業績評価でも「IF 以外の指標も参考に」と書かれることが増えました。それぞれ何を測っているのかを知っておくと、混乱しません。
雑誌の指標
| 指標 | 提供元 | 計算の窓 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Journal Impact Factor(JIF) | Clarivate(Web of Science) | 2年 | 最も知名度が高い。分母は「引用可能な論文」のみ |
| 5-year JIF | Clarivate | 5年 | 引用がゆっくり積み上がる分野向き |
| Journal Citation Indicator(JCI) | Clarivate | 3年 | 分野で正規化。1.0 が世界平均、2.0 なら平均の2倍 |
| CiteScore | Elsevier(Scopus) | 4年 | 分母に全文書を含む。無料で公開されている |
| SJR(SCImago Journal Rank) | SCImago(Scopus データ) | 3年 | 引用元の雑誌の格に重みづけ。無料公開 |
| SNIP | CWTS Leiden(Scopus データ) | 3年 | 分野の引用密度で正規化 |
JIF と CiteScore はなぜ値が違うのか
同じ雑誌でも、IF 5.0 で CiteScore 8.0 ということがよくあります。CiteScore は4年分の論文を対象にし、分母に Editorial や Letter も含めるため、値は IF より大きくなる傾向があります。また Scopus は Web of Science より収載誌が多く、引用元も広く拾います。「CiteScore が高い= IF が高い」とは限らないので、比較するなら同じ指標同士で行ってください。
JCI は「分野の壁」を越える
Clarivate が2021年に導入した JCI は、分野・出版年・文書タイプで正規化した指標で、1.0 が世界平均です。救急医学の雑誌と腫瘍学の雑誌を同じ土俵で比べられるのが利点で、「JCI 1.5 なら分野平均の1.5倍引用されている」と読めます。IF が低くても JCI が高い雑誌は、分野内では十分に評価されている雑誌です。
無料で見られるのはどれか
JIF と JCI は JCR の契約が必要ですが、CiteScore は Scopus の雑誌ページで、SJR は <a href="https://www.scimagojr.com/" target="_blank" rel="noopener">SCImago</a> のサイトで無料で確認できます。IF が確認できない雑誌の位置づけを知りたいときは、SJR の四分位が代替になります。
著者の指標
| 指標 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| h-index | 「h 回以上引用された論文が h 本ある」最大の h | キャリアの長さに強く依存する。若手の比較には不向き |
| 総被引用数 | 全論文の引用回数の合計 | 1本の大ヒットに左右される |
| i10-index | 10回以上引用された論文の本数 | Google Scholar が表示。手軽だが分野差が大きい |
h-index は Web of Science、Scopus、Google Scholar でそれぞれ値が異なります。Google Scholar は学位論文や学会抄録の引用も拾うので最も大きくなります。申請書に書くときは、どのデータベースの値かを明記してください。
論文の指標
個々の論文については、引用回数のほかに Altmetric(SNS やニュース、ガイドラインでの言及を集計したスコア)が使われるようになりました。臨床に直結する研究は引用が少なくても Altmetric が高いことがあり、社会的な注目度の目安になります。ただし、話題性と質は別物です。
指標との付き合い方
2012年の DORA(研究評価に関するサンフランシスコ宣言)以降、「IF で個人や論文を評価しない」という原則が国際的に広まっています。日本でも研究費の審査で IF の記載を求めない機関が増えました。とはいえ、現実には昇進や学位の場面で IF や Q が参照されることはまだ多く、指標の意味を理解した上で、必要な場面で適切に使うのが現実的な姿勢です。
本サイトが提供するのは IF と四分位だけですが、投稿先を絞り込んだ後は、その雑誌の CiteScore や SJR、掲載論文の顔ぶれも合わせて見てください。