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Q1・Q2とオープンアクセスの意味 — 一覧の記号を正しく読む

2026-09 · 板垣秀弥

本サイトの雑誌一覧には「Q1」「OA」といった記号がついています。どちらも投稿先選びに直結する情報ですが、意味を取り違えやすい記号でもあります。

四分位(Quartile)とは

JCR では、雑誌を約250のカテゴリ(Emergency Medicine、Surgery など)に分類し、各カテゴリ内で IF の高い順に並べて4等分します。上位25%が Q1、次が Q2、Q3、下位25%が Q4 です。

たとえば Emergency Medicine カテゴリに約55誌あれば、上位14誌ほどが Q1 になります。2025年の JIF では概ね IF 3.5 以上が Q1 の目安でした。一方 Oncology カテゴリは300誌以上あり、Q1 の境界は IF 6〜7 程度です。

四分位は分野間の桁の違いを吸収してくれるので、他分野の人(審査員、上司、人事)に説明するときは「IF 4.1」より「分野内 Q1」のほうが伝わります。学位審査や研究費申請の要件に「Q1 誌への掲載」と書かれることも増えています。

複数カテゴリに入っている雑誌

1つの雑誌が複数のカテゴリに収載されていることは珍しくありません。たとえば Resuscitation は Emergency Medicine、Critical Care Medicine、Cardiac & Cardiovascular Systems の3カテゴリに入っており、それぞれで四分位が異なります。JCR は「最も良い四分位」を代表値として示す慣習があり、出版社も当然その値を宣伝します。本サイトではカテゴリごとに掲載しているため、同じ雑誌が異なる Q で表示されることがあります。

四分位が「–」になっている雑誌

本サイトでは、出典で四分位が明示されているか、IF の値から確実に判断できる場合のみ Q を表示し、それ以外は「–」としています。「–」は Q4 という意味ではなく「未確認」です。正確な四分位は出版社ページか JCR 本体でご確認ください。

オープンアクセス(OA)とは

OA 誌は、掲載論文を誰でも無料で読める雑誌です。読者が購読料を払う代わりに、著者側が掲載料(Article Processing Charge, APC)を払うモデルが主流です。本サイトの「OA」マークは、全論文が OA になる「フル OA 誌」につけています。

種類仕組み例
フル OA全論文が無料公開。APC 必須Critical Care、BMC Emergency Medicine、Journal of Intensive Care、Scientific Reports
ハイブリッド購読誌だが、APC を払えば自分の論文だけ OA にできるResuscitation、Journal of Gastroenterology、Surgery Today など大半の購読誌
ダイヤモンド OA学会や公的機関が費用を負担し、著者も読者も無料Internal Medicine(日本内科学会)、Circulation Journal(日本循環器学会)など

APC の相場(2026年時点の目安)

所属機関が出版社と「転換契約(Read & Publish)」を結んでいると、APC が免除または割引になります。国内でも大学図書館経由で Wiley、Springer Nature、Elsevier などと契約している機関が増えているので、投稿前に図書館に問い合わせる価値があります。

OA 誌の IF は低いのか

「OA 誌 = IF が低い」というのは誤解です。Critical Care(IF 11.4)、Cardiovascular Diabetology(15.6)、Molecular Cancer(42.2)はいずれもフル OA 誌です。一方で、OA 誌は採択率が高く論文数が多いため、平均すると購読誌より IF が低く見える傾向はあります。雑誌単位で判断してください。

OA と査読の質は別の話

OA かどうかは「読者が無料で読めるか」の話であり、査読の質とは無関係です。ただし APC 収入が動機のいわゆるハゲタカ雑誌は例外なく OA モデルなので、OA 誌に投稿するときは、JCR や DOAJ への収載を確認する習慣をつけてください。本サイトの一覧に載っている雑誌は、いずれも JCR に収載されています。